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奥三河星空コラム

2021年 注目の天文現象

2021年注目の天文現象

コロナ禍対応で過ぎた2020年。奥三河各地で開催する予定だった星空観察会も多くが中止になり、残念な1年となってしまいました。
ところが、こんなときだからこそできることがあると、星空のオンライン配信等新しい取り組みも始めました。
まだまだ、みなさんに十分満足できるレベルではありませんが、試行錯誤を繰り返しながら、よりよい星空の魅力を伝える活動を模索していきたいと考えています。

2021年が、人類に与えられた新しい困難を乗り越えて”新しい時代の幕開け”の年となるよう、奥三河☆星空の魅力を伝える会も新しい時代にふさわしい取り組みを提案できるよう活動を進めていきたいと思います。
さて、新しい時代の幕開けにふさわしい1年にしたい”2021年の注目の天文現象”を紹介します。

まずは、カレンダー形式で列記してみます…。
2021年 注目の天文現象カレンダー
 1月 3日 しぶんぎ座流星群がピーク
   24日 水星が東方最大離角(夕方の西の低空)
 2月 2日 節分(2月2日が節分になるのは124年ぶり)
    3日 立春(2月3日が立春になるのも124年ぶり)
   19日 月面Xが見られる(18時前後)
 3月 6日 水星が西方最大離角(早朝の東の低空)
 4月19日 月面Xが見られる(20時前後)
 5月17日 水星が東方最大離角(夕方の西の低空)
   26日 皆既月食(食の最大20時19分頃)
 6月10日 金環日食(北極圏周辺、日本では見られない)
  12~13日 木星の衛星の相互食
   17日 月面Xが見られる(20時30分頃)
   20日 木星の衛星の相互食
 7月 5日 水星が西方最大離角(早朝の東の低空)
    7日 七夕
 8月 2日 土星が衝
    9日 木星の衛星の相互食
   13日 ペルセウス座流星群がピーク
   14日 旧七夕(旧暦7月7日)
   15日 月面Xが見られる(20時前後)
   20日 木星が衝
  22~23日 木星の相互食
   30日 くじら座のミラが極大光度
 9月14日 水星が東方最大離角(夕方の西の低空)
   15日 海王星が衝
10月12日 月面Xが見られる(20時前後)
   25日 水星が西方最大離角(早朝の東の低空)
   30日 金星が東方最大離角(夕方の西の空)
11月 5日 天王星が衝
    8日 昼間に金星が月に隠される(金星食)
   19日 部分月食(食分98%、”ほぼ”皆既月食)
12月 4日 皆既日食(南極、日本では見られない)
       金星が最大光度(−4.7等級)
   11日 月面Xが見られる(22時前後)
   14日 ふたご座流星群がピーク

この中で、私が今年一番の注目としたいのが「月」です。
星空観察では,日頃邪魔になる月。星空観察会も普通月明かりのないときに開催するように日程調整します。そんな、いつも邪魔者扱いされる月に2021年は注目です。
その理由は…
「2回の月食」
「2か月ごとに見られる月面X」
です。
それぞれ少し詳しく説明しましょう。
5月26日 皆既月食
予想時刻は次の通りです。
部分食の始まり 18時44分
皆既食の始まり 20時09分
食の最大    20時18分
皆既食の終わり 20時28分
部分食の終わり 21時52分

この日の名古屋での月出が18時50分なので、欠けた状態で昇ってきます。その後、徐々に欠け具合いが大きくなり、20時9分頃に皆既状態になります。
月食の場合は、日食とは異なり、完全に月が見えなくなることはなく、暗い赤っぽい月がぼんやりと見える状態のことが多いです。地球の大気状態にも左右される皆既月食の見え方にも注目です。今回はどう見えるでしょうか?
20時28分を境目にだんだん元の丸い月に戻っていきます。

皆既月食

11月19日 部分月食(ほぼ皆既月食)
予想時刻は次の通りです。
部分食の始まり 16時18分
皆既食の始まり ーーーーーー
食の最大    18時02分
皆既食の終わり ーーーーーー
部分食の終わり 21時05分

この日の名古屋での月出が16時42分。5月の月食と同じように、欠けた状態で昇ります。食の最大になるのが18時02分。このときの食分が0.978。ほぼ皆既の状態ですが、全てが地球の影(本影)に隠される訳ではなく、一部隠されずに残ってしまいます。とは言え、地球の大気の影響があるので、どの程度「欠けていないように」見えるかも自分の目で確かめてみるのもいいですね。
2か月ごとの月面X
月の表面に見られる隕石の衝突跡「クレーター」。それが月・太陽の位置関係でできる影の形が時々刻々変化します。その変化によって、月の表面に現れて見えるのが「月面X」です。
この月面Xは上弦の月を迎える直前に見られます。それも、ちょうどそのタイミングで夜を迎えないと見えないので、本当は「時々にしか」見られない現象なのです。
それが、2021年はほぼ2か月ごとに見られるチャンスが到来するというものです。
先ほどの年間のカレンダーから、該当する部分を抜き出すと…
 2月19日 18時前後
 4月19日 20時前後
 6月17日 20時30分前後
 8月15日 20時前後
10月12日 20時前後
12月11日 22時前後

見られる時刻にもよりますが、出現前後に時間をかけて観察すると、だんだんXのような影が見えてきて、だんだん見えなくなっていくようすも観察できます。
示したタイミングは、Xのように見えるクレーターとその影ですが、VやAなどのその他の文字も見つけられるそうです。

そんな月の表面のようすを継続的に観察するのも星空観察の楽しみの一つに加えてもらえたらと思います。

月面X

木星の「月」も楽しもう!
2021年の木星の「月」…衛星も注目です。6月と8月にお互いに隠しあうという現象が見られます。
その現象が見られるタイミングは…
 6月12日 2時42分頃~、23時58分頃~
 6月20日 3時10分頃~
   ガニメデの影にイオが入る
 8月 9日 3時4分頃~
   ガニメデがエウロパを隠す
 8月22日 23時2分頃~
   ガニメデの影にエウロパが入る
   同日 23時36分頃~
   ガニメデがエウロパを隠す
「隠される」のには2種類あって、一方の衛星の影に入ってもう一方の衛星に太陽の光が届かないために見えなくなる「食」と、一方の衛星がもう一方の衛星の背後に隠される「掩蔽(えんぺい)」とがあります。
6月に起こる2回はいずれも「食」。ガニメデの影にイオが入るという現象です。ガニメデとイオは離れて見えているのですが、突然イオが暗くなって見えなくなります。
8月9日に見られるのは、ガニメデの後ろにエウロパが入って、エウロパが見えなくなる「掩蔽」現象です。
そして、8月22日に起こるのは、ガニメデによるエウロパの「食」が起こった後に
ガニメデによりエウロパが「掩蔽」されるというものです。
たいへんマニアックな天文現象ですし、望遠鏡がないと観察できない、それも、望遠鏡自体に追尾の機能がついていないと観察が難しい現象なので、実際に観察するとなると高い天体観察技術が必要ですが、こんな現象の観察を通じて、宇宙の広がりを感じてもらえたらいいなあと思っています。

木星

惑星の見ごろ…2021年は夏以降がおすすめ!
 8月 2日 土星が衝
 8月20日 木星が衝
12月 8日 金星が最大光度

夏までは、それぞれの惑星が太陽側にあってちょっと見にくい状況が続きますが、夏を過ぎると見やすい季節が到来します。これまで早朝の東の空に見えた金星も、5月頃になると夕方西の空に明るく輝き、観察しやすくなります。
土星・木星は8月に衝(太陽の真反対側に来る瞬間)を迎え、一晩中見られるようになります。

特に、珍しい天文現象としてあげるならば、11月8日の「金星食」でしょう。
金星が月に隠されます。13時40分頃、半月状に見える金星が三日月の何も見えない部分に隠され徐々に見えなくなり、約1時間後、14時30分頃、三日月から半月状の金星が徐々に現れてくるところが観察できます。
望遠鏡が必要なのと、昼間の現象なので、太陽に気をつけないといけませんので、挑戦してみたい人は専門的な知識のある人にアドバイスを受けながら観察しましょう!

金星

そして…流星群にも注目!!
1年のうちでいくつもあるといわれている流星群。2021年に注目したい流星群は…

 1月 3日 しぶんぎ座流星群(HR30)
 8月13日 ペルセウス座流星群(HR70)
10月 9日 10月りゅう座流星群(HR3)
11月5・12日 おうし座北・南流星群(HR3~5) 
12月14日 ふたご座流星群(HR80)
 *HR:暗い空等の好条件での1時間あたりの予想最大流星観測数

この中で、一番おすすめなのが、8月の「ペルセウス座流星群」。月明かりもなく、一晩中楽しめそうです。夏休みシーズンでもあり、屋外で過ごすこともそれほど苦にならず、夜更かしも可能な季節でもあります。

流星

さて、2021年の注目の天文現象を紹介しました。
星空は目立つ天文現象がなくても十分楽しめる魅力があります。
今回は、コロナ禍もあり、自宅も含めて楽しめる月や惑星の話題を中心にお知らせしました。
コロナが終息に向かい、皆さんとともに星空を楽しめる時が、一刻も早く来ることを願って、2021年をこれまでにないすばらしい1年にできるよう、次なる挑戦も含めて充実した「星空観察の1年」にするためにがんばります!

それでは、2021年も星空の下でお会いしましょう!!

コラムby 奥三河☆星空の魅力を伝える会 星空案内人 萩野祐司
KEYWORD
#天文現象 #星空 ##惑星 #流星群