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奥三河星空コラム

月面 X 見えるかな

 ちょっとマニアックな話題。今年は「月面X(エックス)」を6回も見ることができます。今年最初の月面Xは、2月19日(金)17:40ころに見えます。
 月面Xとは、上弦の月(半月)のころ、欠け際(月の明るい部分と暗い部分の境目)に「X」状の光る地形が見えるのです。肉眼では見えません。天体望遠鏡で見るとわかります。どんなふうに見えるかというと、こんな感じです。

月面X

(2018年3月24日17:58 月齢6.8 奥三河総合センターで撮影)

 「これは月からの何かのメッセージだ!」と思ってしまうかもしれません。じつは、月にある山の山頂(峰)だけに太陽の光があたり、山腹からすそ野に日が当たらない。そんな峰がうまく連なってXに見えるのです。こんな感じです。

月面X

 そう。月面で朝日が山頂に当たっているのを地球から見ているのです。地球が1日で1回自転するのと違い、月は約30日かけて1回自転(正確には、新月から新月までの時間=朔望月)するので、朝日が昇る速さも地球の約1/30です。そんなゆっくり昇る月面の朝日ですが、うまく山頂に朝日が当たっていられるのは数時間が限度。この山に日が当たる数時間が見頃なのです。しかもその頃に日本が夕方から夜になっていないといけない。結構レアなはずでした。昨年、日本で見られたのは4回。そのうち3回は真夜中の月没間近でした。

 ところが今年はそんなタイミングが6回もあるのです。おまけに週末に見えるのが2回!これは何とかして見るしかない。6回もあればどれか晴れるでしょ!見られる日は、

 2月19日(金)17:40ころ
 4月19日(月)20:20ころ
 6月17日(木)20:50ころ
 8月15日(日)20:00ころ 夏休み観察会を計画中
 10月13日(水)19:50ころ
 12月11日(土)21:50ころ 奥三河星空フェスタで観察会を計画中

 見るには、天体望遠鏡は必須。奥三河で毎回観察会をやりたいところですが、このご時世。ご自宅に眠っている天体望遠鏡はないですか?
「子どものころに買ったのが、確か押し入れにあるはず」
「子どもに買ってあげたけど、1回のぞいて以来使っていない」
引っ張り出してのぞいてみましょう。晴れて月が見られれば、何とか望遠鏡に入れられるでしょう。コツは、まず倍率の低いアイピース(接眼レンズ)で、月のほうに向けて、なんとか月を視野に入れるましょう。そのあとで、倍率の高いアイピース(焦点距離の表示が短い方。10mmとか5mm)に付け替えてください。最初から高い倍率で視野に入れようとしてもなかなか入ってこないものです。がんばって自分で月を見ることができたらとても感動します。お父さんが入れてあげれれば、お父さんのことをきっと尊敬するでしょう!

 さらにマニアックな話。実は最近、月面Vや月面Lも発見されました。月面Xと同時に観察できます。写真は、月面Xが見える日の月の別の場所の写真です。ウソっぽいって?月面Xを見ることができたら、がんばって欠け際を探してみましょう。
月面V 月面L

月面V 月面L

 月は地球に一番近い天体。クレーターなど、いろいろな地形があります。毎日日の当たり方も変わるので、実は月面はとても変化に富んでいます。天体望遠鏡で見るにはぴったりの天体なのです。

 奥三河では、つぐ高原天文台で、月をテーマに夜会と称してオンラインライブや、できれば、リアルな観察会をやろうと計画しています。コロナ禍が無事収束してみなさんとお会いできるのを楽しみにしています。

奥三河☆星空案内人3号 平野宗弘
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