しし座には、一等星が一つ、二等星が二つあります。
一等星の「レグルス」は、しし座で最も明るい恒星ですが、全天に21ある一等星の中では一番暗い星です。
レグルスには「小さな王様」という意味があります。この名前をつけたのは、有名な天文学者のコペルニクスと言われています。
二等星は「アルギエバ」と「デネボラ」があります。
アラビア語で「額」を意味する「アルギエバ」は、橙色の主星と、黄色の伴星からなる二重星です。望遠鏡を使って観察すると、とても美しい星です。望遠鏡の倍率を上げて、観察に挑戦してみましょう。
「デネボラ」は春の大三角形を形作る星の一つで、アラビア語で「獅子の尾」という意味があります。

しし座には、獅子の頭を形作る「？」を裏返しにした様な、特徴的な星の並びがあります。
この星の並びは「ししの大鎌」と呼ばれています。
これを見つける為に、まずは「裏ハテナ」の点に当たる、一等星のレグルスを探してみましょう。
コーデンウィークの夜8時頃、南の空、64°程の高いところに、明るく光るレグルスを見つけることができます。
（※見る地方によって高さが変わります）
そこから天頂方向に、裏ハテナを形作る並びを見つけることができます。
レグルスから東の方向へ、握り拳二つ半位の所に目を向けると、二等星のデネボラを見つけることができます。

足の部分も含めて、星座全体を見てみると、「思ったより大きい」と感じる方がいるのではないでしょうか。
プラネタリウム、パソコンやスマートフォンのアプリ等で見る星空は、狭い視野で全体を見る事ができますが、実際の星空では視野いっぱいに収まらないくらい、大きいことがあります。

都市部の空の明るいところでは全ての星を見るのは難しく、レグルスのみ、又はアルギエバまでしか見えないかもしれません。
実際の星空と、星座早見盤やプラネタリウムソフトなどと、見比べながら、明るい一等星や二等星を探してみるのも楽しいと思います。

それでは、しし座にまつわる神話のお話を紹介しましょう。

今回は、ギリシャ神話最大の英雄ヘラクレスが、自分の妻子を殺してしまった罪をあがなう為、太陽の神アポロンに神託を仰いだ結果として行った「12の功業」、その1番最初に出てくる「メネアの獅子退治」のお話です。

ゲストに、しし座のレオくんにきていただきました。
ヘラクレスとの死闘を生々しく語っていただこうと思いますので、よろしくお願いします。

「こんにちは、しし座のレオです。
今思えば、ヘラクレスは強かったなぁ。
オレが、ネメアの谷の森にいた頃のお話さ。
人間たちを襲っては、食っていたある日、弓矢とこん棒を持った男が来たんだ。
それがヘラクレスさ。
ヤツは最初に弓で矢を射かけてきたけど、オレの自慢の毛皮はそんなものじゃビクともしないから、へでもなかったよ。
ところがね、こん棒で頭を叩かれた時、クラクラっときちまったんだ。
あわてて巣穴に戻って気を落ち着かせようと思ったら、ヘルクレスも入ってきやがるじゃないか。
そこでオレはこの野郎！と襲いかかって、ヤツのこん棒を叩き割ってやったんだ。
武器が無くなって、もう諦めるだろうと油断したのがいけなかった！
なんとヘラクレスは腕を使って、オレの首を締めてきたんだ。
少しぐらいは平気だったんだが、3日3晩も絞め続けてきたんでサスガに参ったよ。
オレがくたばった後、ヘルクレスのやつは毛皮をはいで、鎧の代わりに羽織ったんだと。
『この毛皮に包まれた者は不死を授かる』という伝説も生まれたそうだぜ。
散々な目にあったけど、ゼウス様の奥さんの女神ヘラ様が、ヘラクレスを苦しめた事を喜んで、オレを星座にしてくれたんだ。
今は人間を襲うことはしないでゆっくりと夜空を巡って、毎日楽しんでいるよ。
そうそう、オレの背中というか頭の上あたりというか、シラナイ間に、こじし座なんていうのかできたんだ。
親子だなんていうやつもいるけど、真実は伏せておこう。
星空の聖地奥三河へきたら、ゆっくりと空を見上げてオレを探して見てくれ。待っているからな。」

レオくんありがとうございました！
しし座にはこんな激闘の物語があったんですね。

暖かくなり、過ごしやすくなった春の夜。星空を眺め、しし座を探してみて下さいね。

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コラムby
奥三河星空案内人 横幕浩


★イラスト出典 かわいいフリー素材集いらすとや