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奥三河星空コラム

11月1日 十三夜

11月1日 十三夜

 日本には古くから月を愛でる習慣があります。一番有名なのが、「中秋の名月」、いわゆる「十五夜」です。旧暦の8月15日の月を愛でるこの行事。今年の十五夜は10月4日でした。この十五夜は、平安時代、中国から伝わり、宮中行事のひとつとして行われていたものが、江戸時代以降、秋の収穫期のお祭と一緒になって、庶民の季節行事として広まりました。
 日本では、その約1か月あとの旧暦9月の名月を愛でる習慣があります。「十三夜」といい旧暦9月13日の月を愛でる習慣です。今年は11月1日(水)です。
 醍醐天皇の時代、延喜19年(919年)9月13日に観月の宴が行われたという記録が残っており、これが日本独自の十三夜の月見の始まりとされています。この習慣は日本独自の習慣とされ、中国にはない習慣だといわれています。
 十五夜の月が「芋名月」と呼ばれるのに対して、十三夜の月は「栗名月」と呼ばれています。それぞれの作物の収穫時期に合わせた呼び名なのでしょうか?
 また、江戸時代には、十五夜と十三夜の両方を祝い、どちらか片方の月見しかしないと「片月見」または「片見月」と呼ばれ、縁起が悪いといわれたそうです。

 話はかわりますが、先日、星空ガイド養成講座で、この月見の話を少しさせていただきました。そこで、お月見の行事をした人の数を調べたところ、30人程の参加者の中で「やったよ」と応えてくれた人はゼロ。少々驚きました。毎日を忙しく過ごしている人が多い現代社会。こうした「どっちでもいい行事」はやらないのが「普通」になりつつあるようです。そういう私も、仕事が終わって、月見のために団子を買いに行ったのですが、その目的の団子が売っていなかったのか、売り切れたのか、店頭になく、少々残念な気持ちで帰宅しました。遅くまで仕事をしていた自分が悪いのかなあと思いながら、昔から細々と続けられているこうした伝統行事が、記録の中のものになっていってしまうことに少し寂しさを感じました。その分、しっかり「月は見よう」と思い、望遠鏡を出してその月の様子を観察し、月面の写真も撮影しました。
 今年は、十三夜こそお団子を用意して、月を愛でられるよう準備をしたいと思います。皆さんも11月1日の夜、月を愛でてみてはいかがですか?


*写真は、今年の十五夜のものです。

コラムby奥三河☆星空の魅力を伝える会 萩野祐司
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#十五夜 #十三夜 ###お月見