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奥三河星空コラム

系外銀河

煌びやかな冬の星空も早い時間に沈み、明るい星が少なくなる春。

北斗七星や、うしかい座のアルクトゥルス、おとめ座のスピカと春の大曲線を繋いで星座の位置を探しますが、このアルクトゥルスとスピカの間には肉眼では見えないが、大口径の望遠鏡で見ると星では無い、滲んだ様な淡い楕円や線の様な物が点在します。

銀河団

慣れない人には見つけられないかもしれません。
たとえ見えても、

「この小さくてぼやっとした、ちぎれ雲みたいなやつ?」
「たったこれだけ!?つまんない!」

ということになります。

さらに空に月が無くて、非常に良く晴れて空気の澄んだ日でないと見えません。
でもこれは非常に遠い場所に有るために淡いので見られる事は凄くラッキーなのです。


その遠い物とは?

自分たちの居る太陽系を含んだ天の川銀河と呼ばれる銀河は観測から直径は約10万光年ですが、この淡い物の正体は遠い銀河系の外に有る銀河で系外銀河と呼ばれています。

日本から一番大きく見える系外銀河はアンドロメダ大銀河で秋の星座の中にあります。
距離は200万~300万光年で、肉眼でもかすかに見え、大口径の望遠鏡で見ると楕円形で空の条件が良ければ、渦を巻いているのが微かにわかります。


さて、おとめ座に有る滲んだ楕円や線の様な物は、地球から1000万~6000万光年の遙か彼方にある系外銀河で、あまりに遠くにあるため小さく暗くしか見えません。
約2000個の銀河が集まっているので、おとめ座銀河団と言います。
通常の望遠鏡を使って肉眼で見ることが出来る一番遠くの銀河の大集団です。

他にも銀河団は有りますが、距離が1億光年以上もあり、天文台にある巨大な望遠鏡で特殊な画像処理などして、ようやく見る事が出来るのです。


一方私たちの天の川銀河は、アンドロメダ大銀河、大マゼラン雲、小マゼラン雲などと共に局所銀河群と呼ばれる約50個の銀河から成る比較的小規模の集まりになっています。

近年、遠くの銀河の分布を3次元的に調べると、大きな構造があることが分かってきました。

私たちの属する局所銀河群は、おとめ座銀河団を含む直径約2億光年の歪な球体の表面に集まった、おとめ座超銀河団を形作っていると考えられています。

こうした1億光年以上におよぶ超銀河団がさらに連なり、泡が何重にもつながったような宇宙の大規模構造を作り出しています。
何ともスケールの大きな話になってしまいましたが、おとめ座銀河団は宇宙の構造の一部が見られる宇宙広さを感じられる場所なのです。


コラムby
奥三河☆星空の魅力を伝える会
準星空案内人 大矢 浩一
KEYWORD
#銀河 #系外銀河 #銀河団 #おとめ座 #春の星空