ペルセウス座流星群は、極大日である8月12日の前後3日間は多く流れます。
見ごろは月が出てくる前。
今年の月の出の時刻は、8月10日21：58、8月12日23：27、8月15日00：49になります。

極大日の夜中から朝方にかけて、1時間あたりの流星予報は、
2等星が見える市街地で3～4個
4等星まで見える郊外で11～13個
天の川が見える様な場所で28～32個となります。

今年のペルセウス座流星群の観測にあたっては、下記サイトも参考にしてみてくださいね。

流れ星をたくさん見る事ができる流星群は、宇宙空間の、多くの塵が集まった所を地球が通る事によって発生します。
この、多くの塵が集まっている場所は「ダストストリーム」と呼ばれます。
ダストストリームの正体は、彗星から放出された大量の塵です。
塵は、彗星が何度も公転を重ねると本体から離れ、徐々に彗星軌道全体に分布していきます。
塵の大きさは数ミリから数センチ程度。
重さは1円玉より軽いものがほとんどですが、明るい流星は重さが10g程度と重くなります。

流星の速度は、40km/s程度という猛烈な速度に達します。
40km/sというのは144,000km/h！とても速いことが分かりますね。
地球が宇宙空間を公転する速度（公転速度）は30km/s。

地球の速度と流星の速度とを足し合わせた速度が突入速度として見られます。
とてつもなく速い速度で地球の大気圏に衝突・突入した塵が発光する様子を私たちが観測しているのですね。

ペルセウス座流星群は平均59km/sとかなり速い速度ですが、冬の代表的なふたご座流星群は平均35km/sと少し遅いので、光の流れる速度の違いを比べてみるのも楽しいかもしれません。

流星雨は、流れ星の単位時間当たりの出現数が非常に多く、天球上に降り注ぐ雨の様に見える現象のこと。
1時間に1,000個以上の流星が観測される場合、「流星雨」と呼ばれます。
彗星の塵が非常に多く集まっている所を地球が通過するときに起こりますが、出現頻度はもの凄く低いです。
まだ知られていないダストストリームもあるので、見ることができたら幸運ですね。

彗星の塵の他に、人工衛星の破片や小惑星の小片など色々な物が地球に引き込まれて起こる流星もあります。
数十から数百グラムと大きい物は「火球」と呼ばれる明るいものになり、キログラム級になると地表に落下する恐れも有ります。
これらは散在流星と呼ばれ、夕方は少なく明け方に多く出現する傾向があります。
これは、宇宙空間にランダムに動く流星物質の中を、地球が朝を迎える方向に公転しているためです。
流星群以外の時に流星を見たい場合は、夜中から夜明け前が多く見られる可能性高いと言うことですね。

流星は時に地球の大気に弾かれてしまう場合が有ります。入射角度が浅い為に、非常に長い距離を移動して、弧を描きながら上に向かって消失していく・・・この様に、あたかも再上昇をするように見える火球を「アースグレイジング火球」といいます。

私は2016年11月4日18時半頃、歓声に気づいて空を見上げところ、真上から北に向かって10秒程流れて消えたアースグレイジング火球を見たことがあります。
後日の解析でその火球は、能登半島西岸から岐阜、愛知を経て三重県志摩半島まで横断する形の長経路流星で、経路長は約750㎞ 発光点高度117㎞ 消滅点高度125㎞というものだった事がわかりました。
実際に長い経路の流星で、消失点が高い事から地球の大気に弾かれていたようです。

最近、大火球の観測で隕石が見つかったニュースがありましたが、流星の大半は大気で燃え尽きて地表に降り注いでいます。
これを、「宇宙塵(うちゅうじん)」と呼びます。
もの凄く小さい塵となっていますが、年間100万トンも降ってきているともいわれています。
顕微鏡で見ると溶けて丸くなった鉄や結晶などが見られます。
詳しくは専門の書籍が出ているので探してみて下さいね。

夜空を見上げていると不思議と心が安らぎます。
コラムを読んだ方は、実際に流れ星を探してみてくださいね。
2020年の夏の夜空を楽しみましょう。

コラムby 奥三河星空案内人 大矢 浩一