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奥三河星空コラム

2020年の火星最接近

2020年の火星最接近

夜遅く南東の空に、オレンジ色に明るく光っている星があることにお気づきの方もいるかもしれません。
10月6日に最接近する火星です。
■火星について
 火星は地球の外側を回っており、2年2か月ごとに地球に近づきます。火星までの最接近時の距離は離れた時の1/40まで近づき、明るさも離れた時の約100倍まで明るくなります。

 火星の直径は地球の約半分、重力は約4割と弱く、大気は希薄ですが四季があり、砂嵐が起きると地球からわかります。火星の赤色は鉄がさびた色です。
黒っぽい部分は溶岩が固まった玄武岩や安山岩で、極の白いところは凍った水やドライアイスです。

 火星の探査は続いており、崖に模様が現れたり消えたりといった新しいことがわかってきています。
この夏もアメリカ、中国、UAEなどが火星探査の衛星を打ち上げています。
■楽しみ方
4つご紹介いたします。
(1)肉眼で

 周りの星と違う色と-2.6等級の明るさを見ていただけたらと思います。
最接近の前後1か月は明るく光っているので楽しめます。
10月3日には月のすぐ右隣に見えるので見つけやすいと思います。
(2)写真撮影

火星

 写真はカメラを三脚に固定して焦点距離16mm 絞りF4 感度ISO3200 露光15秒で撮った例です。
ソフトフィルタを使うと写真のような火星の色が強調された写り方になります。好みで使い分けて下さい。
気に入った奥三河の地上の風景とともに撮影してみてはいかがでしょうか。
(3)望遠鏡

火星

地球の大気が火星を見えにくくします。大気の影響を減らす工夫があります。
1点目はできるだけ空高く見える時に見ることです。今回ですと0時前後を選びます。
2点目として「星がまたたかない」夜を選びます。夏に多い日本上空の風が弱い夜です。逆に秋から冬に上空の風が強い日が増えますので最接近より前が狙い目だと思います。

 望遠鏡は口径が10cm~20cmの大き目の方が小型の望遠鏡より見やすいです。感染抑止のため電視観望ですが、星空案内人が見やすい機材を準備して奥三河でお待ちしております。
(4)パソコン/スマホ
 Google Marsで火星の表面の一部を閲覧したり、サイトAccess Marsで探査機キュリオシティが進んだ道筋のストリートビューができます。地球よりスケールの大きい地形を見られます。
 
■おわりに
 今回の最接近は上空の風がまだ弱い時期に火星が空高く上がる位置にあり、特に望遠鏡を通じて表面の模様を見るには2018年の大接近より好条件かもしれません。

 この初秋、しばし火星に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

コラムby 星空案内人 富坂 学

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参考文献
沼澤、脇屋:"火星の素顔",小学館,(2018).
スパロウ、日暮訳:"火星",河出書房新社,(2015).
水谷:”太陽系の成り立ち誕生からの一億年",ニュートンプレス,(2015).
KEYWORD
#火星 #mars #望遠鏡 #惑星 #火星の接近