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奥三河星空コラム

地球の住所

地球の住所

近年観測機器の発達により、130億光年以上遠くの銀河を発見出来る様になってきました。
観測した方向や距離のデータを使って銀河分布を表示すると面白い事が分かってきました。
宇宙空間における銀河の分布には密な部分と密でない部分があり、宇宙の断面を作成してみると、銀河が多く集まる所が絡まった糸がつながった様な網目構造をしている事が分かって来ました。
これを宇宙の大規模構造と呼んでいます。
さらに3次元的に作成すると、せっけんの泡がくっつきあっている様子に似ていることから泡構造とも呼んでいます。
一つの泡は直径約1億光年にもなり、この銀河の集まりを銀河団と呼びます。
銀河団の多く集まった宇宙の中に私達の地球はどこにあるのでしょうか?

地球がある天の川銀河は、おとめ座(Virgo)銀河団の中にありますが、銀河団の大きな重力の影響で、一つにまとまろうとした動きが観測と計算で見えてきました。
隣り合った銀河団の内、じょうぎ座(Norma)銀河団、うみへび座(Hydra)銀河団、ケンタウルス座(Centaurus)銀河団、へびつかい座(Ophiuchus)銀河団などが一つの大きな集まりである事が分かってきました。
この銀河団の集まりをラニアケア超銀河団と名付けられました。
ラニアケアはハワイ語で、lani(天空)、akea(広々とした、果てしない)を意味します。

ラニアケア超銀河団

おとめ座銀河団は銀河が多く集まているケンタウル座の銀河団方向に引き寄せられています。
(線は銀河が向かっている方向をつなぎ合わせた物ですが、ここで注意なのは引き寄せられているが、宇宙の膨張速度の方が大きいので近づく事はありません)

さて、おとめ座銀河団のでの天の川銀河の位置はブラックホールの画像で有名なM87を中心とした銀河が多く集まる銀河群とは反対に位置して、アンドロメダ大銀河やM33など小規模な銀河群を形成しています。
写真は、おとめ座銀河団です。

おとめ座銀河団

では、天の川銀河の中での地球のある太陽系の位置はどこなのでしょう?
銀河の中心?大きな腕の中でしょうか?
答えは、ペルセウス座腕と、たて座-南十字座腕の大きな二つ腕から分かれた少し太いオリオン座腕と呼ばれる星の集まり部分の端側に位置して星が少ない部分になります。
写真は塩で描いた天の川銀河の想像図です。
天の川銀河から見たら少し都会から離れた田舎の場所です。

天の川銀河

宇宙規模から見た地球の住所は、
「宇宙の大規模構造内のラニアケア超銀河団外れにある、おとめ座銀河団内の銀河が少ない方にある天の川銀河で、二本の大きな腕の間にあるオリオン座腕と呼ばれる星の集まりの端にある太陽系の第三惑星です。」
となりますね、この様に表現すると凄く田舎にあるような気がしませんか?

星が老いて超新星爆発を起こすと数光年離れていても生命が死滅する恐れも有ると考えられています。
地球は近くに星が少ないお陰で長く生命を育む事が出来た可能性があります。
意外に田舎にあって良かったのかも知れませんね。

奥三河は名古屋の都会から少し離れた田舎ですが、愛知県の星空の聖地として綺麗な星空が見えます。
夏に茶臼山高原では多くの人が明るいライトを点けた為、夜空の明るさが21等級から19等級に明るくなるのが観測されています。
お越しの際は車が来ない場所で安全確保してライトを消して暗い夜空の星をお楽しみ下さい。

コラムBy 奥三河星空案内人 大矢 浩一
KEYWORD
#宇宙 #天の川銀河 #銀河 #地球 #太陽系