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奥三河星空コラム

おとめ座のスピカ

「おとめ座は1等星のスピカがすばらしい。青白い輝きが彼女の清純な印象を強めている」

「おとめ座をみつけるためには、まず主星スピカを見つけることだ。北斗七星の柄の先から、アルクトウルス→スピカと結ぶ”春の大曲線”。アルクトウルス→スピカ→デネボラ(しし座の2等星)を結ぶ”春の大三角”。どちらをつかってもスピカは簡単にみつかる。ただ、星を結んで”おとめ”の姿をえがくことは、なかなかむずかしい。星図をたよりにたどるか、あっさりあきらめることだ」
(春の星座博物館 山田卓著 地人書館)
注:アルクトウルスは、うしかい座の1等星。デネボラは、しし座の2等星

おとめ座

 星占いの黄道十二宮星座の中でも有名なおとめ座(学名Virgo)ですが、暗めの星で形作られるとても大きな星座で、星を結んで乙女の姿をえがくのはなかなか難しいようです。その中でひかえ目にに白く輝く1等星の「スピカ」は、女神が持つとがった麦の穂の先を表しています。「スパイク」と同意語だそうです。日本名で「真珠星」と呼ばれることが定説となっていて、星の色にぴったりなおしゃれな名前ですね。

 スピカは肉眼で見ると一つの星にしか見えません。しかし詳しい観測によるとお互いの重力で回りあう連星であることが知られています。しかもかなり激しい連星です。太陽から地球までの距離の1/8の近さ(水星よりもさらに内側!)にある二つの恒星が、たったの4日で回りあう連星系なのです。しかも、片方は太陽の8倍の直径で表面温度は2万2千度、もう片方は4倍の直径で1万8千度、太陽は約6千度ですから、超灼熱太陽ふたつが超高速でグルグル回っている!どちらの星も楕円に伸びてしまって、恒星の表層はつながっているのかもしれません。残念ながら、地球から250光年も離れたところにあるので、大きな天体望遠鏡でもこの近すぎる連星を分離してみることはできません。

 このスピカは時々月に隠されます(恒星食)。天球上を西から東に公転する月がスピカを隠し、出てきたところ(出現)をとらえたのが下の写真です。(動画①)

スピカ食

 このような月による食の観測により、スピカにさらに3つの伴星がみつかって、五重連星!の可能性も。「ふたつのスピカ」というアニメがありますが、なんと「五つ」でした?

 一方、おとめ座にはポリマという3等星があります。肉眼では一つの星にしか見えませんが、これは、口径5cm程度の小型天体望遠鏡で二つの星に分かれて見えるきれいな二重星です。このポリマも時々月に隠されます。(動画②)
【解説】
スピカ食は、大きな画面で月の左上、暗い影の側にあるポチっと光る星を探してください。じーっと見ていると突然消え(潜入)、やがて右側明るい月縁からパッと現れ(出現)ます。
ポリマ食は、月の下縁をかすめるので、星が月の山谷に見え隠れしてちかちか点滅するのがわかります。
(星が動いているのではありません。月が動いているのですよ!)

 昨年は多くの観察会が中止やオンラインになりましたが、今年は細心の注意を払いながら奥三河でもだんだんリアルな観察会を復活します。春は大気が落ち着いて比較的よい天気の日が多い季節。星の瞬きも少なくなります。
奥三河の暗い夜空で、スピカを探しておとめ座を見つけてみましょう。大きさにきっと驚きますよ!
奥三河の星空観察会で待っています。

コラムBY 奥三河星空案内人 平野宗弘

春の星座とおとめ座

スピカの見つけ方については下記のコラムをご参考ください。
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#おとめ座 #スピカ #春の星座 #一等星 #スピカ食